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座り姿勢の原理原則

私たちが生きている地球上には重力があります。
この重力は身体に対して良い影響と悪い影響とを及ぼしています。
まず、良い影響は筋力を保ってくれていること。重力がないと筋肉や関節機能の低下が起きます。宇宙飛行士が無重力の宇宙から帰還すると、しばらくの間、足腰が立たなくなるという話を聞いたことがあるでしょう。
二〇一二年の十一月に四カ月の宇宙滞在から帰還した宇宙飛行士の星出彰彦さんも、帰還後は約一ヶ月半の予定で筋力トレーニングなどの「リハビリ」を受けたといいます。重力があるからこそ、私たちは健康でいられるし、さまざまな運動能力を維持できているということがわかるでしょう。
 
逆に悪い影響のほうは、重力により身体の組織に負荷をかけてしまうことです。
ここでいう組織とは、関節・筋肉・内臓組織などを指しています。重力の下で普通に生活しているだけで、全身の筋肉、足腰などの関節には重みがかかっていて、大げさにいうならば常に傷めつけられている状態にあります。
 
そこで、重力から全身の組織を解放し、回復させるために、人間には休息が必要になります。それが就寝の姿勢です。
身体を横たえることで、筋肉や関節、内臓などの組織がずっとのしかかっていた重力から解放されるのです。睡眠にはこうした役割あるからこそ、睡眠時間が短かったときや徹夜明けには誰しも「しんどいな」と感じるわけです。 

【図:椎間板への内圧変化】
上向き寝:25
横向き寝:75
立位:100
立位で前傾:150
座位:140
座位で前傾:185

■身体にとっては、座っているよりも立っているほうがマシ
 
人間の身体が座り姿勢に向いていないことはデータでも裏付けられます。
左図を見てください。
これは、姿勢による椎間板への負担の変化を座位を100として数値化して表したものです。これを見て意外に思われるかもしれません。実は、立っているときよりも座っているときのほうが椎間板への負担は大きいのです。寝ているのに比べれば座っているほうが椎間板に負担が大きいのは感覚的に理解できるでしょうが、立ち姿勢と比べても座っているほうが負担は大きい。身体にとっては、座っているよりも立っているほうがマシ、ということです。
 
一般に、「立ち仕事」といえば身体的にハードな仕事の代名詞になっています。
当然、立っているよりは座っているほうが楽であり、身体への負担も少ないと思っていた方が多いでしょう。しかし椎間板への負担を計測し、数値化してみると、本当に身体にとって悪い姿勢は座り姿勢であることが判明するのです。
 
ここで注目してほしいのは、座位で前傾している姿勢、まさしく、パソコンしている時の姿勢なのです。立位の倍近い負担がかかっているのです。 もちろん、本当に理想的なのは、現代人が座り続けざるを得ない生活にうまく対処し、時々歩いたり、走ったりして座り姿勢のリスクを自ら軽減する術を身につけることです。しかし、集中した仕事をしているとその集中力を妨げたくなく、人は、椅子に座り続けてしまいます。アップル社が2015年に販売を予定しているアイウォッチには、長い時間座るとアラームが鳴るような機能も着く予定らしいです。それほど社会は、座るリスクに敏感になってきているのです。

私は座り姿勢を研究した結果、座り姿勢の「原理原則」があることを発見しました。それは
 

●座り姿勢の原理原則=どんなにいい姿勢をしていても、座っている以上は身体には負担をかけている その原則のなかでも、唯一身体の負担を軽減できる「究極の座り姿勢」がある。そして、その座り姿勢は、人間の構造を利用したもので誰にでもできることである。


これは、シンプルではありますが、全人類に通用する原理原則だと思っています。人体の構造は、民族間において多少の違いはありますが、基本構造は同じだからです。
大げさに聞こえるかもしれませんが、私はこの、究極の座り方である「丹田座り」を中心とした座り姿勢のメソッドを、全世界に発信すべきだと考えています。頭脳労働が主流になり、座り続けなければいけない人が増えているのも世界共通の傾向だからです。「丹田座り」を広げることで、世界から病気が減り、また障害や病気になっても早期に解決できるケースが増えると確信しています。
 
引用資料:その痛み・不調は、「座り方」を変えれば消える! (PHP文庫) 木津直昭著
NACHEMSON A :THE LUMBAR SPAIN.AN ORTHOPAEDIC CHALLENGE.SPAIN 1:59-71,1976 より

© 2016 by 行動姿勢研究会

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